<複雑な現象をわかりやすく映像化します>

~復興加速化プロジェクト~岩手県各地の観光資源の保存とその活用

【研究プロジェクトの概要】

岩手県各地には、全国的に知られていない様々な観光資源が存在しています。
それら観光資源を3次元計測技術により3Dデータ化、遠く離れた場所の人たちにもその存在や素晴らしさを知ってもらえるようなデータ作成を行っています。
3Dデータ化された観光資源は当時の状態をそのまま保存することができ、3Dプリンターでの出力、VRでの疑似体験等、現地にいなくても楽しむことが出来ると考えられます。

現在までで、計測・保存を行った観光資源は以下の通りになります。
・南昌荘
・三王岩
・旧南部氏別邸
・遊学館

3次元計測では、3次元測定器FAROとドローン(名称)を使用して行われます。
計測で得られたデータは点群形式で保存され、点群データをもとに3Dモデル、映像作品、VRコンテンツ等の作成を可能にします。

【ビデオ】3D復興計画モデルによる住民説明会の風景(wmv形式)

【ビデオ】ドローンで撮影した岩手県立大学の風景(mp4形式)

被災地自治体では、住民説明会やホームページ等で復興計画を説明する際に、従来方法では2次元図面を配布して説明を行っています(図1、図2)。この方法では、視覚的にわかりづらい。特に高さ情報や相対的関係が平面図では伝わりづらく、景観検討においても共通のイメージを持つことは非常に困難です。我々は、現在、大槌町、陸前高田市、宮古市の都市計画データを用いて、復興計画の3次元CADによる3D復興計画モデル(図3、図4)を作成し、実際に復興計画の策定や住民説明会などに活用することで、その有効性を評価しています。

 SanrikuReconstruction_Fig01図1 大槌町の復興計画図(2次元)

SanrikuReconstruction_Fig02図2 宮古市の復興計画図(2次元)

SanrikuReconstruction_Fig03図3 大槌町の復興計画図(3次元)

SanrikuReconstruction_Fig04図4 宮古市田老地区の復興計画図(3次元)

【目指す成果】

3D復興計画モデルを作成する上での問題として、a)容易なモデル作成手法の確立、b)各自治体や大学での環境整備、c)土木・建設業の3次元CADが扱える人材不足、が挙げられます。これらの問題を解決するために、CIM(Construction Information Modeling/Management)の概念を取り入れた3D復興計画モデルの作成手法の構築、さんりく沿岸の各自治体や大学において十分な環境(人、ソフト、機器、予算)の整備、土木・建築業の3次元CAD等を扱える技術者の育成、が重要となります。

さらに育成した技術者がさんりく沿岸で長期的な雇用を得るために、その受け皿となる県内企業の育成が必要です。昨年、岩手県立大学、岩手県立大学宮古短期大学、八戸工業大学、いわてデジタルエンジニア育成センターでは、岩手県立大学地域協働研究(平成25年4月~平成26年3月)を推進しました。陸前高田市、宮古市、大槌町の都市計画課より都市計画データを提供して頂き、選択された複数の地域の3D復興計画モデルを作製し、住民説明会等に活用してもらいました。

今後、東日本大震災からの復興をより加速化するために、我々は以下の点に重点を置いて、研究を行っていきます。

a)合意形成の迅速化による復興促進

被災市町村に於いての復興計画が2次元図面で進められてきましたが、計画内容が一般住民にわかりづらく、計画決定、具体化に遅れが生じています。我々やボランティアが作成した3D復興計画モデルを住民説明会、役場内やショッピングセンター内の情報プラザでの公開、各自治体や大学等のホームページでの公開等に利用することで、合意形成の迅速化に貢献します。

b)人材育成、育成カリキュラム作成、セミナー開催、被災求職者への貢献

国交省指導のCIM事業化試行が始まり、今後急激な普及拡大が予想されます。現状では、CIMを扱える技術者は、民間企業にも少なく、その人材育成ニーズが急激に高まってきています。3D復興計画モデルの作成が行えるCIM技術者を東北地方で育成することで、雇用創出や企業育成につなげていきます。

c)被災地地域への3次元地図化の試みと先進的なモデルケースの実現

本研究では、3D復興計画モデルを拡張して、CIMの概念を取り入れた3次元地図化をさんりく沿岸の都市で構築し、さんりく沿岸での先進的なモデルケースを実現します。この実現には、初期の段階から様々な業種・会社が協力することが重要であるため、岩手県内の地元民間企業、都市開発機構、ゼネコン、地図・計測会社、各自治体と情報交換や連携を行いながら、大規模な3次元地図化を試みます。

3次元地図化のための、さんりく沿岸の都市データ、地形図、設計モデル、施行モデル、属性データは、一元化して、岩手県立大学内に配置したクラウド型の統合データベースに格納します。さらにデータ収集を効率化するために、対象地域を無人ドローンで空撮し、ドローンに搭載された4Kカメラで得られたビデオ画像を用いて、簡易型の3D地形モデル構築手法を確立します。

岩手県立大学では、研究全体のスケジュールを管理し、各地域で得られた調査結果、3D復興計画モデル、データ作成の支援ソフトウェア、教材等のデータ等をネット上のサーバで集中的な一元管理を行っています。また、専任講師育成、環境整備、人材育成を通じた地域活動体制の構築を岩手県立大学の「いわて3Dプリンタ活用研究会」と共催で同時に進めています。大学からの参画は、八戸工業大学があり、民間からはオートディスク社、自治体には宮古市、陸前高田市、大槌町の協力を得ています。人材育成や技術講習では、いわてデジタルエンジニア育成センターの協力を得ています。

図5は、陸前高田市における震災前、震災直後、復興後の街並みを再現したものです。このように時系列で比較することにより、より復興後のイメージが具体化され、同時に貴重な歴史の流れを可視化します。

図6、図7は、それぞれ、陸前高田市、宮古市の3D復興計画モデルです。平成27年度では、宮古市都市計画課の依頼により、田老地区と鍬ケ崎地区の精密な3D復興計画モデルの作成を行っています。

SanrikuReconstruction_Fig05図5 陸前高田市(左:震災前、右:震災直後、下:復興後の街並み)

SanrikuReconstruction_Fig06図6 陸前高田市

SanrikuReconstruction_Fig07図7 宮古市田老地区