「三王岩」は三陸復興国立公園にある数多い奇岩景観の中にあって最も圧巻で、高さ50メートルの通称男岩の両側に女岩、太鼓岩が寄り添い、真下に立つとまさに圧倒されんばかりの壮観さがあります。1億年もの歳月をかけて、寄せ返す波と海原を吹き渡る風が形作った美しい自然の芸術品です。三王岩は白亜紀(1億年頃前頃)の海に堆積してできた砂岩や礫岩(宮古層群)から構成されており、宮古層群が堆積する前の、北上山地の骨格を作った火山活動の痕跡で、激動の時代から穏やかな海への変化を見ることができます。
図1 左から女岩(高さ23m)男岩(高さ50m)太鼓岩(高さ17m)
三王岩での計測
三王岩の三次元データ作成は、あらゆる角度から撮影された大量の画像から生成されます。今回の計測ではDJI社のPhantom-4とS900を使用して空撮し、数千枚の画像を取得しました。S900に搭載したカメラは高解像度のSONY NEX7で、6000×4000の解像度で写真を撮影しています。
図2(左:撮影で使用したphantom、右:撮影時)
ドローンでの空撮が終了した後、作成するデータに座標情報を持たせるためにGPS情報を取得する作業を行いました。GPS情報を取得するには「標識」と呼ばれる目印を計測地点の周辺に設置します。設置数は計測範囲によって変化しますが三王岩での計測は5か所に標識を設置しました。
図3 GPS情報を取得するための標識
標識の設置が終了した後、GPS情報を取得する装置を使用して、GPS情報を取得していきます。GPS情報を取得することにより、最終的な位置合わせが容易になります。
図4 GPS装置によるGPS情報の取得
3Dデータの元となる点群データは撮影で得られた大量の写真画像から生成されます。これはSfM(Structure from Motion)技術と呼ばれ、写真画像から特徴点を取得しながら、自動的に3次元の点群データを生成します。本測量では、Pix4D社のPix4DMapperを使用しました。
図5 生成した三王岩の点群データ
生成した点群データを元に3Dモデルの作成も可能です。3Dモデルを作成することにより、3Dプリンターでの出力やVRコンテンツへの表示などを可能にします。また、三王岩を見下ろす事や、海側から見る事など現実では難しい角度から三王岩を楽しむことが可能になります。
図6 3Dモデル化した三王岩のデータ