3D計測は、以下の流れで行いました。
- ドローンによる上空からのカメラ・ビデオ撮影→写真データ作成
- 地上レーザ計測からの点群データ作成
- 写真データから3D形状復元ソフトウェアによる点群データ作成
実際の3D計測にはFARO社の3Dレーザ計測装置Focus3D 120とDJI社のドローンS900、高解像度カメラとしてソニー製のα6300を利用しました。3D表示(Virtual Reality)ではAutodesk社のInfraworksとOculus社のヘッドマウントモニタ、点群表示ではUnityのPoint Cloud Free Viewerをそれぞれ使用しました。以下は、岩手県立大学をドローンで撮影した際のビデオです。
【ビデオ】ドローンで撮影した岩手県立大学の風景(mp4形式)
従来はスケッチベースで2D図面を作成していましたが、今回の3D計測手法を用いることで、非接触で正確な計測が可能となります。計測データを保存(デジタルアーカイブ化)し、3D可視化・モデリング技術を適用することで、より広い分野への応用が期待できます。過去の計測データ活用事例としては、小中学校の学習教材としての20mアンテナの3Dプリント、木村榮記念館のメッシュ生成、奥州宇宙遊学館のVR(Virtual Reality)などが挙げられます(図1)。
図1 過去の計測・データ活用事例
点群データからは、3Dモデリング技術を用いて3DCAD(3D Computer Aided Design)モデル(点、線、面情報を抽出したモデル)を構築し、面積測定が可能です(図2)。
図2 点群データからの面積測定
次に、3DCADモデルに対して、リアリスティックな色や反射属性、模様などの属性情報を付加したVR(Virtual Reality)モデルを作成します。VRモデルは、写実的表示が可能であり、従来の何気なく眺めるだけの庭園表示ではなく、ネット上から庭園散策、遠方や違った視点からの庭園鑑賞、庭園の見どころや鑑賞方法などの解説追加、など従来とは異なる活用方法が期待できます。更に、VRモデルを用いてタイルドディスプレイやヘッドマウントモニタでの映像表示を行うことで、専門家の指導によるバーチャルな庭園鑑賞会なども可能になり、盛岡市内の文化財庭園の魅力度向上に繋がると考えられます。
また、モデリングソフトウェアを用いて、点群データから従来の2D図面を作成することが可能です(図3)。図3の左側は上空から見た点群データであり、赤い枠の部分は南昌荘の玄関先です。玄関先の点群データを平面上に投影して、石の配置をプロットしたものが図3の中央です。更に石の配置のみを図面化したものが図3の右側となります。点群データに対し、石の輪郭を描くことで、2D図面を作図できます(図4)。
図3 左:上空からの点群データ、中央:点群データ赤枠内の平面投影図、右:石の配置
図4 点群データに対する石の輪郭の作図