<複雑な現象をわかりやすく映像化します>

汎用3次元画像処理システム(Volume Extractor)

 

医用画像や産業用CT画像に対して、可視化、画像処理、3次元形状(ポリゴンモデル)への変換等を行うことを目的とした3次元画像処理システムです。例えば,CTやMRIによって得られた2次元断面画像群から3次元画像を生成して、3次元画像処理や3次元形状モデル構築を対話的に行うことが可能です。生成されたポリゴンモデルは、対話的に編集・加工することが出来ます。簡単な操作ですべての機能を利用できるように設計されているため,3次元画像処理について初心者でも十分使いこなすことが出来ます。3Dプリンタ用のSTLファイルも生成・編集・出力可能です。本システムは、現在、(株)アイプランツ・システムズで販売されています。本製品は、平成27年4月に公益財団法人りそな中小企業振興財団と株式会社日刊工業新聞社が共催します第27回「中小企業優秀新技術・新製品賞」ソフトウェア部門の奨励賞を受賞しました。

以下の様な機能があります。

  • 2次元スライス画像の入力と3次元画像構築・編集(3次元画像の切り出し、塗りつぶしなど)
  • 複数の3次元画像表示(ボリュームレンダリング表示、等値面表示、断面表示など)
  • 3次元画像の部位抽出(領域拡張法、ヒストグラム上のしきい値によるセグメンテーションなど)
  • 3次元画像の計測(長さ、面積、体積)
  • 3次元形状の再構成と操作(マーチングキューブ法、4面体格子法)
  • 3次元形状データの生成・編集・出力(3Dプリンタ用STLファイルの編集・出力など)

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医療用画像の入力と3次元画像構築

MRI,CTの医療用画像として一般的なDICOM画像フォーマットの入力に対応しています。また,原画像として,TIFF,BMP,RAW,ANALYZEデータなどのフォーマット入力にも対応しています注a)

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注a) DICOM、RAW、TIFFDICOMは、Digital Imaging and Communications in Medicineの略で、医用デジタル画像と通信の標準規格です。DICOM規格を採用することで、異なった装置間で、医用画像の相互接続やデータベースの統一化が可能になります。RAWは、生データや未加工であることを表しており、画像フォーマットとしては、画素値だけの画像データを表しています。TIFFは、Tagged Image File Formatの略で、汎用の画像データフォーマットとして、広く普及しています。

 

複数の3次元画像表示

複数の3次元画像を同時表示することが可能です。例えば,骨の形状を観測するための3次元CTと軟骨や内臓を観察するためのMRIを同時表示することができます。表示方法には,断面表示,等値面表示,ボリュームレンダリング,各表示の組み合わせが使用可能です。3次元画像は「ボリューム画像」,「3次元ボリューム画像」とも呼ばれ,ボリュームレンダリングは,ボリューム画像を効果的に表示するレンダリング(画像生成)手法です。本システムでは,グラフィックスプロセッサユニット(GPU: Graphics Processing Unit)を利用したボリュームレンダリングにより,高速な3次元画像表示を可能にしています。

3次元画像の部位抽出(セグメンテーション)

本システムでの部位抽出(セグメンテーション)は,「対話型セグメンテーション」,「領域拡張法(左図)」,「ヒストグラムベース(下図)」による方式をサポートしています。

3次元画像の部位抽出(セグメンテーション)

3次元画像の計測

3次元画像の長さや角度,面積,体積を対話的な操作で計測することができます。最近では、CTやMRIの性能向上により,解像度の高い3次元画像データが計測可能になってきたため,十分な精度の計測が可能になっています。

3次元画像の計測

3次元形状の再構成と操作

3次元形状の再構成をする機能としてポリゴン編集機能、自動穴埋め、自動反転、自動削除があります。

3次元形状の再構成と操作

3次元画像データ,3次元形状データの出力

本システムで作成した3次元画像,3次元形状モデルをファイルへ出力することができます。また,DICOM画像フォーマットでの出力や,STL,DXF,VRML等々の形状モデルのフォーマットでの出力にも対応しています注b)。出力された形状データは,実物モデルの作成以外にも,有限要素法(FEM)による応力シミュレーションや手術の術前計画などに利用可能です。特に3Dプリンタをお使いのユーザには、3Dプリンタ用のエラーがない造形ファイル(STLファイル)を作成します(面倒な空間に浮かぶゴミや面の不整合を自動的にクリーニングします)。

注b) STL、MGF、VRMLSTLはStereo Lithographyの略で、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)でよく使用されている汎用データフォーマットです。MGF(Materials and Geometry Format)、VRML(Virtual Reality Modeling Language)も同様にポリゴン形状を表現するデータフォーマットの種類で、MGFはモデリングや可視化、VRMLはWEBなどでよく使用されます。